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    肩関節痛の1症例

    • 2010.04.19 Monday
    • 11:13

    ・・・あまり良い症例ではないのですが、まあこんな事もあるのかという感じで気軽に読んでください。




    肩関節痛の1症例

     

    患者 52歳 男性

    初診 平成21年3月23日

     

    主訴 左肩関節痛

     

    望診 顔は浅黒く、太っている。がっしりとした固太りタイプ。

       尺部の色はやや黒

     

    聞診 声は大きく、やや甲高い感じ。五声は参考にせず。

     

    問診 2週間ほど前より急に左肩関節が痛み出した。肩関節の可動性は十分にあるのだが肩関節打ちぶん回しで肩関節外側に痛みがでる。

       肩こりがあり、左肩が重い。夜間痛というより朝方に痛みを感じるとのこと。

     

       現在通院、服薬はなし。

       既往歴も特記事項なし。5年前に当院にて急性腰痛症で来院した程度。

       検診でひっかかったこともなし。

     

       タバコは1日1箱。お酒はほとんど飲まない。

       食欲はあり。便通は便秘ぎみ。

     

    切診 全体的に皮膚は荒い。本人は特に左肩の肩こりを訴えるが、左右差はとくに感じられない。

       左右ともの所見であるが、ナソ部は硬く生ゴム様といった感じである。

       肩井、天髎、曲垣付近に圧痛。心兪、隔兪、膏盲付近にも硬結と圧痛。

       左の中府、雲門、上腕骨結節間溝あたりにも圧痛。

     

       腰仙部には冷え、細絡あり。

       下腿にややむくみ有り。

       掌中は熱感。足は足首から先が冷えているが本人には自覚症状はなし。

     

    腹診 中脘穴より陰交穴あたりまでの脾の見所最も虚。

       陰交より恥骨上際までの腎の見所やや虚して冷えている。

       右季肋部の日月、腹哀よりやや斜め下の肺の見所は左と比較しても平。

       臍の左側胆経の帯脈穴より居髎穴あたりの肝の見所も平。

       中脘穴より上鳩尾穴までの心の見所も平とみました。

       大腹は比較的温かい。

     

    脈状 浮、数、虚

     

    比較脈診 右関上沈めて最も虚して、やや広がっている感じの脈を呈している。

         左関上浮かせてややあり。その他は差を感じない。

         全体的に力なく弱弱しい脈である。

     

    経絡的弁別 皮膚の色、小腹の冷えは腎経の変動

          肩甲間のこりは膀胱経の変動

          比較脈診での右関上の脈状、便秘、下腿のむくみは脾の変動に分類した

          掌中の熱感は心包経の変動ととらえました

     

    証決定 総合的に判断して脾虚とし、腎虚の相剋調整も思慮にいれて施術決定。

     

    予後判定 病は日が浅く、可動域制限もないことから予後良好と判断しました。

     

    適応側 男性ですが、症状が左であること、臍の盛り上がり、中脈の強さから右適応

        側と判断。

     

    施術 

    1回目 本治法 右太白を取穴し銀鍼寸3、2番にて経に従って接触、刺入、気を伺う。

        気が至ったのを度として左右圧をかけ抜鍼。すばやく鍼口を閉じる。

        検脈すると脾の脈がやや締まった感じになったので良しとしました。

     

        続いて右大陵を補い、もう一度検脈すると左の脈全体にも力が出て、とくに

        関上、尺中の肝腎の脈が力強い脈になったので相剋調整は選択せず、脾虚証の

        みで様子をみることとした。

     

        続いて陽経の処置に移りましたがとくに邪を感じる経がなくやや胆経の邪があるように感じられたので左光明に軽く潟法(塵と思われる虚性の邪を処置するため補中の潟とした)。

     

        標治法 左肩背部、肩上部、ナソ部を中心に硬圧部、圧痛部位を中心に補的

        散鍼。脈が全体に虚であったのを考慮して弱めの鍼刺激としたが、とくにナソ部の生ゴム様の硬い部位にはステンレス寸3、2番を用いて潟法を加えた。

     

        最後にもう一度検脈すると左に比して、まだ脾の脈が虚しているように感じたが、ドーゼ過多になるのを考慮して様子をみてもらうこととしました。

     

    2回目 前回の施術後、運動時痛は半分くらい改善されたとのこと。

        結果良好であったことと、所見が前回とほぼ同じであったことから、前回同様の処置をした。

     

    3回目 運動時痛は前回とほぼ同じくらい。痛みの程度は確実に改善されているというが、朝の肩の痛みは同様にあり、あまり改善されていないという。

     

        入念に検脈しなおし、やはり前回同様に処置をした。

     

        施術の最後に検脈すると左の脈が全体的に荒々しい。

        とくに関上の脈は実脈かと思うくらい激しく脈打つようになっている。

     

        ここに至って、問診からやり直した。

        朝、痛む部位はどこか? 左肩上部から首筋にかけてであるとのこと。

     

        もう一度検脈する。しばらく診ているとやや脈が飛ぶような気がする。

     

        血圧を測定すると184−110であった。普段の血圧は上が140台であるとのことであったので念のため病院の受診をすすめて終了した。

     

    経過と考察

      その後のこの患者の来院はじつはありませんでした。

      ですが、数ヶ月後に心臓カテーテル、ステントの処置を受けたとの患者家族から

    の報告を受けています。

     

      3回目に問診、脈診をやり直していますが、根拠があって心臓疾患を疑ったわけで

      はありません。

     

      ただ、それ以前の症例で70歳代の男性患者を診たときに見た目が非常に

    虚体であったのに脈が実脈かと思うほど力強い脈を呈していました。

      それを立派な脈で予後良好としたのですが、1ヵ月後に心臓疾患でお亡くなりに

    なっているのです。

     

      老人(虚体)の脈は虚濡にして凛なるものを長ずる脈、という言葉がありますが、

      実体と相反する脈は逆におかしいということです。

     

      本症例もじつは施術後の左の寸関尺の荒々しい脈が本来の脈ではなかったかと

    考えました。

            

      脾の虚を補うと同時に心包も補っていますから、その結果として本来の脈に

      戻せたのではないかと考えます。

     

      正直に言えば、本治法後の脈の乱れが本当にそのような理由であったかどうかは

      わかりません。

      ただ検脈力不足、鍼の技術不足の結果であっただけかもしれませんが、

      結果オーライということで、終わりよければすべて善し。

     

      以上です。

     

     

                   

      

     

    症例パーキンソン(3)

    • 2010.04.16 Friday
    • 08:47

     

    14経過 施術終了後は少し気分がよいとの事。継続治療を希望されたので最低週1回以上の通院を指示して1回目の施術を終える。

     

        2回目、治療は初回時とほぼ同様。

        3回目、食欲不振、やや下痢ぎみとのことで脈差診の結果肝脾相剋証で施術。

     

     4回目、前回までで、施術終了後は気持ちが良いとのことだが、実際の症状にはまったく変化はなく術者側からみても客観的に変化しているとは捉えられず、再度入念な四診をおこなう。

            結果、やはり肝虚で治療をおこなうが適応側を右から左に 
            変える。

            理由は切診による反応点が左側に多数みられたこと。

            入念な切経での反応点検索と提鍼による検査により左大敦穴       
        に銀鍼寸6、2番を用いて
    施術。
        鍼を穴所にあて静かに待つ。
        左下肢全体のかすかな震えが治まるのを待って静かに抜鍼。  

        続いて同側の太谿穴に補法。
        脈状の変化も平に近づいたが、なにより患者本人が左下肢が   
        熱く感じ気持ちがよいと言う。
        震えも若干おさまったようにみえる。

        標治法は前回までと同様に終え、様子をみる。

     

     5回目、前回施術後、1〜2日は下肢に力が入るようだという。ただし手の震えは変化なし。本治法は前回同様。

    陽経の処置にも再度切経をやりなおしたが、やはり前回までと同様の処置。

    標治法は前回までと同様。

    そのほかに反応点にたいする処置をおこなう。手の震えに対して頭部の気の滞りを改善するために百会、左湧泉、顖会、中極を取穴。背中のこわばりに対して両腎兪、両肺兪を取穴。

    いずれも反応点をとったものであり、ステン鍼寸6、2番を置鍼。

     

     6回目、前回施術後、手の痺れが改善されたように思うとのこと。手にも力が入るようになったようにも感じる。ただし手の震えは変化なし。

    本治法、標治法とも前回同様だが、ナソ・ムノ、項頚部への硬結部への鍼は止め、百会、左湧泉、顖会、中極、両腎兪、両肺兪への置鍼のみとした。

    さらに左湧泉、中極、両腎兪へは知熱灸を各3壮くわえた。

     

    今回は施術中約40分間だけの間であるが左下肢を動かさずにじっとしていることが苦痛でなくなったこと。これは患者がもっとも苦痛を訴えていた症状であり、おおきな改善と思われる。

    施術直後より手に力がはいるようになったことなど変化がみられるようになった。
    ただし、手の震えは同様にある。

     

    以上が現在までの経過である。わずかずつではあるが、良い変化が見られるようになってきたので以後も施術を継続しておこなうことを約束していただいた。

     

     

     

     

     

    15反省と考察

      4診目以降の本治法は当会の定則取穴とは違うものである。

    決して奇をてらったわけではないが、反応の強いほうを選んだ結果、このようになってしまった。それは私自身の診断能力や施術能力の不足の結果であるかもしれないが、その判断は現時点では私にはできない。

    また、手の震えに対して上肢および手には施術を加えていないが、過去、直接手に鍼をしてもよい結果を得られた経験がないことと、どうしても反応点が上肢・手にとれなかった結果である。頚肩部への施術で多少の改善が見られるようになったのでいましばらく様子を見ようと思う。

    以上です。

    症例パーキンソン(2)

    • 2010.04.15 Thursday
    • 08:44

    10病症弁別

        手足にみられる病症は肝木の変動。

        湿疹は肺金もしくは脾土の変動。

        無力感は脾土の変動。

        皮膚の色、就寝時の不調は腎水の変動。

     

        四診法から肝脾相剋を疑うが、脾の病症に乏しく肝虚としたが、肝脾相剋証も念頭におく。

     

    11予後と治療方針

        定期的、長期的な治療は必要であろうと思う。

        定年までは教師をつづけたいという本人の希望になんとか応えたい。

        パーキンソン患者は自覚症状には表れていなくても頭部に気の滞りがある事は間違いなく、標治法では頭鍼も有効との報告も聞く。そのあたりも考慮にいれて治療をすすめたいと思う。

        用鍼は銀鍼寸6、2番。ステン鍼寸6、2番。補助と検査用に銅とアルミの堤鍼を使用。

     

    12本治法

        男性だが左の症状が強く、右適応とした。

        定則どおり右の曲泉を取穴。入念に補い、弦絶のごとく抜鍼、鍼口を閉じる補法をおこなう。

        
    検脈すると肝の堅さがややとれて艶をおびてきたように感じる。沈めてみても脈の形を感じるようになっている。

        
    続いて同側の陰谷に同様に補法を加える。

    脾に関しては平に落ち着いたとみえたので処置をしないで様子をみる。

        
    続いて陽経。胃経および胆経に指の腹につくような脈を感じる。

        
    陽経の処理として、左足三里、光明に補中の寫を加えた。

        

        再び検脈すると浮脈は平に近づき、堅さがとれ潤いをおびた脈となったので様子をみることとした。

     

    13標治法

        パーキンソンの特徴として筋のこわばりがある。ナソ、ムノだけでなく、腰周辺や項頚部の固い部分にも標治法をくわえる。指先で反応点や硬結をさがしながら鍼を加え、鍼が自然に進むところまで刺入。緩むのを待って抜鍼。

        腰および項頚部全体に鍼を加え、最後に頭部の虚の反応点に補的鍼を加えて終了。



    結果は次回にて 

    症例パーキンソン(1)

    • 2010.04.14 Wednesday
    • 08:41

     

    パーキンソン病の1症例

     

    1患者 49歳 男性 教師

     

    2初診 平成21年5月21日

     

    3主訴 手の振るえ 手の痺れ(常に手袋をしているよう)

        歩行時の無力感、時々前につんのめるような感じになる。

        左下肢の落ち着きの無さ、常に気になって動かさずにいら
            れない。

        (左下肢についてはかなりイライラするらしい)

     

    4望診 中肉中背だが剣道の有段者ということもあり、筋肉質。

        緩慢な動作。尺部の色は全体的に黒ずんだ感じ。

     

    5聞診 穏やかで高音でも低音でもなく中程度の音質。声質に濁りも無く流暢だが、力のない感じ。五音・五声は判別せず。

     

    6問診 3年前に発症。半年前まで病院にて投薬治療を受けていたが、改善しない事に絶望して自己判断で治療を中止。今回は父親に説得されての受診。

        既往歴、現病歴とも特記事項なし。

    症状は徐々に悪化しているように思うとの事。

    とにかく左下肢が気になり夜眠れないこともある。

    手足に力が入らない。無気力感。

    食欲はあり。

        (ただ、左下肢についてはRLSを疑う)

     

    7切診 全身的にこわばりがみられる。ムノ、ナソ部ともに全体的 
            に硬い。

        手足は暖かく、本人も冷えは感じないとの事。

        診察ベッドに横になってもらっても、常に左下肢が気になり、じっとしていられない。

        左足甲部に湿疹がみられる。皮膚科の診察を受けるが原因不明。

        

    8腹診 全体的に固い。大腹と比べると小腹に力がない。とくに肝の見所に虚が見受けられる。冷えた感じはなく温かい。

     

    9脈診 脈状は浮・数・虚 沈めると全体的に堅く、荒々しい脈状。

     

        比較脈診は左手尺中の腎もっとも虚。関上の肝は堅く荒々しいが、沈めると力なく、実とはみれない脈で、虚と判断する。右手関上、脾もやや虚にみえる。浮かせて膀胱、胃、胆やや実。他は平。

    所見は以上です。

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